2021年1月12日の昼

ところが、水は流れるのをすぐやめてしまった。黒いハイエースが横断歩道にじりじりと近づいてきている。Z郎は反射的にそのドライバーを見ていた。彼は、おおむねハイエースには彼好みの男が乗っているという信条のもと、日々を暮らしていた。あまりにも見つめすぎたのか、視力がまた落ちたのか目を細めすぎたようで、顔からして中肉の男から鋭い視線が飛んできた。Z郎は思わず顔をそらした。

2021年1月12日の朝

角を曲がると大通りにぶつかる。まだ多くの車たちが横断歩道に堰き止められていることを、遠くに見える信号機が証明していた。Z郎は自転車を立って漕いだ。頭上の電線に鳩の群れがいたので、それをよけながら進んだのは言うまでもない。ようやくマンションの陰からダムが見えたときにはもう決壊しはじめていて、Z郎はひどくがっかりした。

2021年1月10日の10時

アンダーアーマーは、着用すると、購入時の価値を上回ることができる。つまり、そのマークを背負っている人は、その人ごとブランドってわけさ。要するに、かっこいいっていうか、おいしいんだ。

2021年1月10日の午前9時

濃いの出すんだろうなあ――木材どうし仮留めできるくらいのね!少し薄くてしっかりした髪、髭はおそらくもみあげとあごを繋いでいて、絶妙にださい色合いの服、袖口からは雄の気配……重力に逆らって、胸のほうへとちぢれた蔦がきっと伸びているにちがいない。ああ、なんて静謐な不純!この瞬間に恍惚としながら、遠くの連峰を見やる。今日は空気が澄みすぎて、栃木あたりの山まで見える。この変態、君の前で暴発させぬよう気をつけなくちゃね。

2021年1月9日の夜

しまむらの袋を提げて帰途につく俺ダサいかもと思ったことが気の毒なほどイケてなかった!太りきった人がチェック柄を纏っているのをはやしたてるのと同じようなものだったね。あれはひどい瞬間だったよ。無印で見つからず、ユニクロでも見つかず、ワークマンでもだめならば、最後にしまむらを覗けるなんて、なかなか街としては親切じゃないか。ただ、なによりパルコが相当イケていないね、恐縮だけど!

2021年1月8日の夜の2

わかりやすいというのは、大事な暗号じゃない限り、いいことさ。快感を得た証拠に出てくる白い液は実に良い例なんだ。稀に居る、それでも足りない欲張りさん、早めに賢者になれるように設定を変えてみてはどうかな。そのあとの食事がやけに旨く感じられるんじゃないかなあって!液体一つ垂らさずイクことはちっとも面白くないけど、股間以外にイケるところがあったらいいね。乳首で、とかそういうんじゃなくてね。

2021年1月8日の夜

「ちんこ」ってつぶやいたけど、ぜんぜんそんな気分じゃなかったよ!いまモーレツにちんこ見たくないし、ちんこモーレツにしょーもない。悲しいことに、まったくちんこじゃないときに限って人は死を選んでしまうんだ。飛び降りてみたり、飛び込んでみたり、吊ってみたりするまえに、ちんこを見てくれ!ちんこも見たくないときは喜んだほうがいいぜ、なにしろもう死んでいるのだから、わざわざ更に死ぬ必要もないってこと。勃つこと必死になって漁るんだ。