エッセイ

美の城

そんなことに腹を立てようとしている自分が“キモ”かった。ゴミはクセえしキタねえからいいのではないか。市民たちの反射的あるいは意図的な、眉をひそめた顔や罵り声、それらも含めて、わたしの美しさではないか。ひとびとが蜜を抜き取りとうに朽ちたブーケ…

青空

空は青くて晴れていて、真っ白な富士山に手が届きそうだ。人々はいまから火葬場へ向かうらしく、黙りこくっている。物音ひとつ聞こえようものなら、きつい一瞥をその音のする方へ送りつけるつもりでいるのが見て取れた。それにしても、あんまり人々が静かな…