思い過ごし

思い過ごしのうちに死ぬことが多い。たいてい、誰かの行為を許せなかったときに起こる。真っ黒い煙をもくもくと立ち昇らせて、いわゆる『炎上』を脳内で開催するのだ。内容はいたって短絡的で、その誰かがうんと傷つくようなことを口に出しまくる、といったもの。炎上会場は脳内だが、今日は上下の唇によって実演はキッチンで行った。包丁で野菜を切りながら、子供が思いつくような痛い台詞を、体を力ませ響かせる。これを、わたしは一種の死と呼ぶ。わたしはよくこのように迂闊に死ぬことがよくある。