起床6:43の場合に於いては

よーいドン!パン食い競走かと思いきや、ぶら下がっているのはクリーム玄米ブラン。あーあ、ビスコみたいな袋にすれば子供にだって人気が出るのに、あからさまに健康食品ふうの梱包、徒歩歩…………わたしは悲しいからコースを逸脱、失格の称号を頂く。鮫島優子が声を掛けてくる。「一体どうしちゃったのよ、とりあえずもずく食べる?」チュルチュルと頂く。酸っぱさが悲しみに憑かれた身体にしみわたる。「それで、一体どうしちゃったというの?」わたしは答えない、答えずにいればもう一品出てくると踏んだからだ。「ねえってば……先食べる?」うまそうなテリッテリの手羽先をひとつ頂く。「おいしい?」「おいしいよ」鮫肌優子の頬に手を伸ばして触れる。これはわさびがおろせる。「蕎麦はないのかな?」「蕎麦はないねえ」よーいドン!次のレースが始まる。皆川智弘がクリーム玄米ブランにぶら下がっている。わたしこと利根猛と鮫肌優子こと鮫島優子がそれを眺めている。