2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ウチの蜘蛛くん

ウチの蜘蛛くん 鴨居のへんで じっとしている ふっと息かける ぴくりと動いて 黙りを決め込む しましま模様の ウチの蜘蛛くん ウチの蜘蛛くん 明るい部屋では つまらなそうだ 陰に潜ってる 日が暮れてから おれが帰るまで おでかけしたかい ウチの蜘蛛くん …

正論

暑さ逃れ 涼しい函に がらくた寄せて 日差しもいれず 風にカーテン揺れること許さず 日が暮れる 夜が来る 太陽みたいな白熱球 一晩中灯そう 静かな夜は厭 ありきたりなアップテンポをかけて きのうも同じ 阿呆みたいに からだよ 騒げよ 死んでもいい 死ぬに…

折衷案猛々しい

自分可愛い 誰だって 傷ついたのは おまえのせいだ 守るものわかりたく 攻撃を用いてしまう 守るもの守りたく 脅迫を用いてしまう 自分醜い ときどきは 傷ついたのは おのれのせいか 正しさは詰め寄りがちだ 刃に剣 痛々しい 間違いは遠慮しがちだ 鎧に盾 重…

君と同じ 2015.9.26

鳴り響くホイッスルに たったひとり安堵していた グラウンドに染みていく 仲間たちの悔し涙 誘われるように目が潤んだ あの 最低な十月ーー 脆弱な肩を庇って 情けないタックルさ 掴みにいこうとする腕など 容易に弾き飛ばされ 交代の宣告間際 「続けさせて……

期待する私達

欲しがらなければ すねてしまうのか もらうべきものは ほとんど受け取っている 求めてもいないものまでも 与えようとして…… 与えようとして…… そしてかなしくも 手許に引き寄せてしまう これ以上 腹に詰め込んだら どんないいこと わるいこと 思いつくだろ …

結婚式の憂鬱

むかし 雨が好きだった 嫌いなことは みんな 外にあった わたし 雨が好きだった 嫌いなことが すこし ましだった 思い出話も女の話も あんまりバツが悪いもんだから 心から 祝いつつ ひっそりと煽る酒 あの日 雨を呼んでいた 凌ぎすぎたわ 傘を たためず か…

トマトについて

ビニールハウスのトマトが いくついくらで売れたらば 嫁と子供は路頭に迷わず 暮らしてゆけるだろう 酒を用いて誤魔化せど 宥められぬ獣である どこまで生きてゆきたい? 選べる時代さ ビニールハウスの…… ビニールハウスの…… 大事なものを見きわめよ 迷いつ…

健全しかし

げっぷをしても独り 健全も孤独は孤独 網戸を張ったんだ 文字通りさ 畑で使う防虫網を クリップで挟んだだけの 俺ンちじゃねえし 真面目に仕立てたところでね 昆虫の侵入を許さない心理 WHAT'S? 窓あとふたつ 屁をこいても独り 轟音ほどに孤独の極み 窓より…

アイドゥ

とは 言い つつ 顔で いく 淫靡テンション INVITATION とは 言う けど 体で いく 淫靡テンション INFECTION 声の 話の 瞳の 波動 ハゥ ドゥ ユゥ ドゥ 腕の 腹の 脚の 駆動 クッ ドゥ ユゥ ドゥ 髪の 口の 股の 態度 ウゥ… アイ ドゥ アイ ドゥ

とある少女

燻ってる吸い殻が 道の真ん中に落ちていた ピアノ教室へ行く途中の 少女がそれを眺めてた 道徳の授業かなんかで こんな光景を知っているのか ピンクの手提げを持ったまま じっと煙を眺めてた 燻ってる吸い殻は 彼女を地面に引き寄せた うずくまる花柄ワンピ …

BAD TORTOISE KOOPA

訊かなくちゃ あいつどうなのって どういういきさつ云々などは 訊かない 訊かないことだ 言わなくちゃ 味をしめただろって 窓辺で頬杖ついてたら さらわれやすいことぐらい 今夜 やって来そうよ ライラックの陰から見ていてね うごめく影 壁をよじ登る 姫を…

ステキな生活

おんぼろ団地のまわりに花が咲いてる すすけた壁は隠せないけど なんだか華やかです あちらの麗しい住まいは わざとらしくてキレイだけど こちらの野暮な佇まいは しっわくちゃでもステキです としより婦人が毎日花をいたわる すすんだ町は覆せないけど なに…

ショッピング・モール Ⅱ

ららぽーとはすなわち パレード不在のTDL ともすれば暇のはけ口 入場無料のミュージアム 滞在時間問われない My住まいは監獄 自由に冒された囚人 手持ち無沙汰の羽交い締め 今生無量の倦怠感 怠慢自慢するにも満たない なにもない 欲しいものここに すぐにni…

不穏な新居

新しい軒先で 花が息絶えている 出掛けにこりゃまずいな、って 気にならなくなったらおしまいさ 門番をミイラに任せて誰を招くの、奥さん いつかのことわざが正夢になるぜ、旦那さん 真っ更な部屋で 息吹きはじめている あちこちありゃへんだな、って 気にな…

どよめく海

出来たての青い海 鮮やかな藻屑たち 穏やかな港に大きな船がつく きらきらと青い海 ゆらゆらと藻屑たち ぷかぷかと浮いている細い亡骸 魚たち すこし気にしている 魚たち すこし気になっている 波に揺れても乾いている死んでいる 出来たての青い海に 新しい…

鈍行列車

この列車に行き先はない 停まる駅にホームはない 各駅より速くならない 駅弁そんなもんはない この列車は気兼ねない 停まるとこに駅はない 各駅よりもきざみたい 駅弁そんなもん要らない この列車に乗らないかい 停まってる時間やや長い 各駅すら停まりたが…

雑多な関係

錠をかけ 明かりを灯す 飯を食べ 穏やかな夜を眠る 我らいつから別物 何も同じくできない 何守る 何守る できれば何かを同じくしたい 錠を解き 明かりを灯す 酒を呑み 侘しい夜は更ける 我らいつから別物 あれもこれも異なりたい 箪笥の奥 箪笥の奥 見え透く…

テイストソーグッド

ホームの床に座らせたんだあんまり重たい鞄昼にはレストランへ連れてうっかりしていたよテーブルでくつろぎだすなんてね 小さなトマトはすべり落ちてプレートの足元に寝ころんだホームの床の味こそしないがなかなかうまかったわけだよなかなかうまかったわけ…

幕開け

そこそこの美人は 口でっかくして あくびを放つ終電車 さっきまでまちのおしゃれな店で 彼氏とキスでもしてたんだろうに そこそこの美人は こうべを垂れて 眠りを極める終電車 さっきまでまちのおしゃれなとこで それっぽいことしてたんだろうに 楽しいって …

元年

じっとしていたら 祝えない さてと 重い腰あげて なかば むりやり 騒いでみようか 黙っているより ましかもしれない 新時代 信じたい 語呂を合わせてみただけさ 新時代 近未来 辻褄合わせてみたいだけさ じっとしていては 祝えない さあさ 重い腰あげて なか…