2020年12月30日の朝

お茶碗ガッチャーン!と割っても一人。味噌汁こぼしそうになってオワッ!て慌てても一人。咳をしても一人――これは、正岡子規だと確信してきたのだが、違うことがわかった。幼い俺は、彼の横顔のインパクトに攫われて、誤解したのだろう。この句が浮かぶと、子規と放哉の二人の名前も挙がる。彼らはそれしきのことで目を覚ますほど暇してはいないだろうが、名前を呼ばれたときの反射みたいなものは、あるんじゃないかと思う。もうほとんど永久的に。