六号向島戦

くらげが泳いでいるのではなかった

それはタバコの箱のフイルム

植え込みの縁に腰をかけ

春を見上げる 隅田川

私と人びと

 

軽いビートが近づくのがわかった

それは幼子の駆けてくる音

幾度にも渡る母の声を

春はかき消し 子を逃がす

まどろみの午後

 

ここからはなんてつややかだろう

砂埃まみれの弾丸

見とれてしまうなめらかさだろう

川向こうはゆるい撃ち合い

争う一分一秒