桜x 〜サクラックス〜 vol.2

「はあ……ねえ、改札階さん……はあ、はあ」

息を切らしながら彼女は続けた。

「製氷機がね…」

「蜜濃、もうやめなよ、何を投げているの?」

「なんにもしてないって……はあ、はあ……お願いだから聞いて……製氷機が」

蜜濃は眉間に皺を寄せてしまったことに気付いたらしく、すぐさま両目を大きく開いた。今度は額に皺ができた。

「壊れたの。2台目なのに」

「製氷機が壊れたの?」

「そう……はあ、はあ……それでね……」

「それで、どうしたの?」

「注文したのよ」

今度はゆきが眉間に皺を寄せる番だった。彼女の皺は縦に四本額に深く刻まれた。

「それで、製氷機は届いたの?」

「はあ、はあ……届いたわ……4台目がね……はあ」

ゆきは少し混乱した。

「えーと……3台目はどこへ?」

「知らないわ……」

 

つづく