池之端オーガズム 2014.4.22

大通りから路地に入って信号のない交差点

住所は池之端

標識に従い右から来る道を覗けば

白いセダンと男

小雨のなか 誰かを待っているようだった

 

途端に傘が開かれて黒い姿は隠された

艷やかな革靴とストライプの裾だけ残された

呆気なく美味しい時間の終了

 

幾多の女を抱いたような特徴など何処にもないが

貫禄のある雄々しき躯体に暫く脳裏が吸い付いていた

きっと刀のように鋭くて拳銃のように真っ直ぐな眼

――雨が強まる

 

貪るように思い巡らせ遡る都道

此処は高戸橋

路面電車は悠々とカーブを曲がって遠ざかる

――何処にでも居るんだ 俺 選べねえ