初子の歌

君の歌を 聴きたいよ

ハコちゃん

その胸いっぱいの

愁いを隠しきれない愛

 

夜風が涼しくなったねと

きっと君なら言うだろう

そして僕はそうだね、と

茂る夏をかえりみること

よろこんで するだろう

 

君の歌を 聴きたいよ

ハコちゃん

この部屋いっぱいに

愁いを断ち切れない声

 

ユウウツナマイニチヲドウシヨウ……

イクラコトバデイッテモダメナコトモアルノサ……

 

網戸をすり抜けてきた秋に

耳を 君なら澄ますだろう

やがて僕はきれいだね、と

ほそい指に手をふれること

いつくしんで するだろう

 

夜風が涼しくなったねと

きっと君なら言うだろう

そして僕はそうだね、と

老ける夏のすがたに重ね

微笑せずに いられない