脹脛の紗

歩いてきた勢いのまま椅子に腰かける人の体の使い方についてあれこれ言う必要があるわけがない。ただ、もう、なんというか、まるでビーズクッションをぺらぺらの紙ぐらい薄くぶっつぶしたら勝ちみたいな座り方が気になってしまうだけの話。

彼の脚。おそらく彼はスポーツマンであろう。首は太く、7月の湿った風に晒された脹脛もまた太い。そこは黒く細い縮れたひじきたちによって薄く紗がかけられ、鮫のようなわたしの視線攻撃に対応している。このような、健康的かつ活動的な体躯に発生する悩み事とは、いったいなんであろうか。彼の悩み。彼の小豆色のショートパンツ。全身ワークマンでコーデした模様。とても似合っている、そしてあなたは爽やかなことをここからお伝えする次第。それではさようなら。