三秒前

右ルートをゆく俺は三秒前
光沢のある青空を闇に浮かべて
漕ぐ脚は外に少し開きがちだ
きっと寅壱にそそのかされている

たえず上下する靴は赤い
廃棄を免れた絵具で密かに染めて
そんな足は時に少し辱めるのだ
だってもう学校を卒業したのに

右ルートをゆく俺は三秒前
危機感示す黄色をするりと抜けて
家につけば徐に湯を沸かすのだ
だって薩摩芋などを煮込むため

たえず展開する幻の計らい