2021年1月12日の昼

ところが、水は流れるのをすぐやめてしまった。黒いハイエースが横断歩道にじりじりと近づいてきている。Z郎は反射的にそのドライバーを見ていた。彼は、おおむねハイエースには彼好みの男が乗っているという信条のもと、日々を暮らしていた。あまりにも見つめすぎたのか、視力がまた落ちたのか目を細めすぎたようで、顔からして中肉の男から鋭い視線が飛んできた。Z郎は思わず顔をそらした。