「おいしい?」

ちゅーぱ、ちゅぽ、ちゅぱ、ちゅーぱ、ちゅぽ、じゅ、じゅぼ、じゅる、じゅちゅ、ぱ、ちゅーぽ。

「おいしい?」

この世の「おいしい?」には二通りある。美味しいものを口にする人に対して訊ねる「おいしい?」と、美味しくないというか世間一般的に召し上がるものだと想定されていないものを"美味しそうに"口にする人に対して"訊ねるまでもない"「おいしい?」のふたつだ。いま後者の「おいしい?」を聞いた。訊かれた側は、ああもちろんだよと頷いた。恍惚としていた。

エロにおける「おいしい?」は英語で言うところの「How are you?」と同じだろう。日本語なら「ごきげんよう」ってなところか。恍惚としている人には無言で鼻息や視線を掛けるのが一番で、言葉など一切不要なのだ。しかし、カメラが回っている以上その向こうにいる人々のためには、一言二言あるほうがおそらくいいのだろう。こういうときのためにあるのが、あの「おいしい?」だ。本気で味を訊ねていない「おいしい?」。自分が発射して白くした頬や口元を見ながら「うわぜってーまずいじゃん」と思いながら訊く「おいしい?」。ひとつの確立したフェチなのだろう。