セレナ〜デ、セレナ〜手間

「新井さん……ですか?」

「はい」

「そうだと思いましたよ!ティッシュの薄い方をこよりにして老婆のうなじをつつくのは、おそらくあなただけなんですよ。なぜならば多くの人は、ティッシュの荒いところを収集・再編してこよりを作り、老婆が今宵食べるであろう刺身に添えるのですから。あるいはティッシュの執拗に丸められた側面によって思い起こされる楽曲はいつだってサカナクションだから、老婆が眠りにつく頃かどうかもわからない昼下がりの湯上がりを狙って、呼び鈴を鳴らすのが普通なんです」

足元では怖気づいたスプレーマムが滋養強壮のためかなんだか知らないが麺つゆを飲み干そうとしている。あのボトルの握り手からしてメイド・イン・イタリーだろう。靴の裏にへばりついたガムがわたしを愛してみようと試みているばかりか、わたしを藍染体験コーナーのある行田市の郷土資料館へ連れてって連れてってbyドリカム。洗浄能力の高い洋服を着ているわたしだから、いっそ味噌、阿蘇雀荘。アメメ!!コーンスターチの襲撃だ。「マジョリカマジョルカ!」179のダメージが霧状になったとたん、CHUMSが飛び出して「ケォー!ケォー!」。驚いたスプレーマムがパルテノン神殿配合の軟膏を身体の淵という淵に擦り込ませている。バグりそうだ。餅よりも軽い音色を掻き鳴らせば、女と男よりも浅く広い性別ときわどい年齢を帯びることができる。これを今思い出したわたしはとてつもなく哲朗、今さらジロー。オリヒカで買ったフォーマルのネオジムマグネットがポケットから出てきたとき、あべのハルカスよりも低いすべてのビルヂングに、やさしい雨が降る。