頭悪すGUILTY

そういう季節が来て、そういう季節が行く。駅を降りてからの全ての匂いが懐かしい。湿度湿度湿度、場合によっては良い季節。アグレッシヴな仮面を被った男性が、側溝に足を落とす。笑えない大人は、笑わない代わりに買ったばかりのミルクを彼に与える。「元気出るよ…」

その懐かしい匂いは油の匂いと思われる。駅を降りてからというもの、食い物が並んでおり、皆悉く油を使っているのだろう。酒がひょいひょい出てくる店に、油の匂いと煙草の匂いが漂っていることはサービスのひとつにほかならない。雫を垂れた老婆が目白駅を背にして横断歩道に立ち尽くす。光景は、完全予約制だ。

テリーヌディオン?

バスは3速から上げないらしく、かなり音を立てた。目白道路沿いのイタリア料理店の店主が、豆とごまのストレートサラダを作りながら、眉間に皺を寄せた。ストレートサラダというものは、素材が全て千切りであるもののことを言う。

アグレッシブな仮面を被った男性はミルクをすすり、元気を出した頃、ようやく足を地上に出した。耳鳴りの木が震えて、困惑の長芋が練られて、親族の冠を鞄から出した。脳味噌はまもなく皇帝ペンギンの餌になるだろう。