ほんとうの目と鼻の先に白い吊り革があって、なんだか見つめあっている気分になっちゃったわけ。この位置で、こんなふうに、見つめあって、キスをしたこともあったな、車窓の向こうの、マンションの一室みたいに、まあそれなりに汚らしい暗い部屋だった、だ…

地震を最近感じてなくて、それはそれで不穏である。くしゃみを押さえた手を洗おうか考えて洗わない。もしここに菌がついていたら、誰かに移すことができるかもしれない。一人暮らしの部屋。あーあ、歌にメロディーがある、曲に旋律がある。子供がぐちゃぐち…