某新宿

「アンタほんとにつまらないことを言うのね」つまらないとはその名の通り、興ざめということだ。空気を和ませるのが善なら、淀ませるのは悪だと。わたしは悪だ。

わたしたちはつねに空気に包まれているから、空気から逃れられなくて、ましてや酒を頼んでそれを呑んでちょっと楽しい思いをするために訪れた場所の空気には、ある程度高品質を望む。悪の私は、そういう場所で力を発揮する。もしも口を開いた場合のことだが。

悪のわたしはここでひらめく。つまらないことを言ってしまったことを認知して恥ずかしく思うこと、それこそが本当の悪だと。わたしはマジ悪だった。

「アンタほんとにつまらないことを言うのね」そう言われたときわたしは某新宿で亀甲縛りされていた。