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シクラメンから抽出したクレヨンが売れる売れる!ねっとりと紙を汚していく感じが、人々に受けているらしい。座って手ぐしで髪をといでいる女が指に絡んだ毛を床に落として、さあ準備ができましたと深呼吸する間もなく紙を汚す汚す!相当汚しがいのある紙のせいかも知れないが、コーヒーカップをテーブルのギリギリに置いてせっせと体を動かす。唾液もまたクレヨンと馴染むもの。ねっとりと静かにくっちゃりと紙は汚れていく。当然、口唇付近の筋肉が疲れてくるから、そのときはクレヨンをカトラリーみたいに置いて、しばしコーヒーを啜る時間を過ごす。クレヨンの風味はまたコーヒーにも合うもの。女はまた手ぐしで髪をとぎ始め、気が済むまで髪をといだら、指に絡んだ毛を床にねりねりと落とした。ねりねりされた髪の毛はうまいこと団子状になり、女の周りに点在していた。女はときどき、踵をつけながらつま先を横に振るため、髪団子はよく喫茶店のあちこちに旅に出た。しかし、店の外まで出ていくものはほとんどおらず、髪団子は一生を喫茶店の中で過ごした。女はクレヨンを愛するあまり、シクラメンをよく食べた。女が訪れた店にシクラメンがあった場合、それはかならず美しい緑の茂りとなって夜を迎えた。その美しさゆえに、花のないシクラメンは残念がられることなどなかったし、女は咎められることもなかった。かと言って、誉める人もいなかった。つず久