いないいないバウアーでめっちゃいる二人

「ハラノー ハーラーノー ハラノー ハラノハーラーノー」

「何の歌?」

「わたしってさあ……聞いてる?」

「この近さ」

「腹の出てる男が好きじゃんね、だから歌ってるの。ハラノー ハーラーノー」

「そこはデーテールー、でしょ」

「じゃないの。ハラノー ハラノハーラーノー」

「わたしも歌おっかなー」

「いいよ」

「知らず知らず歩いて来た

細く長いこの道

振り返れば遥か遠く

故郷が見える

でこぼこ道や

曲がりくねった道

地図さえない

それもまた人生

アハーーー体験のように

ゆるやかに

いくつも時代は過ぎて

アハーーー体験のように

とめどなく

空が黄昏に染まるだけ」

「めっちゃうまいじゃん!美空ひばりだよね」

「そう、アハ体験のように」

「アハーーーだけど、実際は鼻でフンフン言ってたね」

「そう、字足らずだから」

「いいねー、アハーーー体験のように」

「うま!ちょっと声寄せてるでしょ。顔見なかったらひばりだよ」

「ほんと?前からちょっと思ってた、わたし声ひばりっぽいかもって」

「ひばりガオーカ」

「ひばりガオーカ。ひがし?」

「クルーメ」

「アキーツ

「ひばり?」

「ガオーカ」

「スープストック!ひばりくん!!スープストックひばりくん!!おっとっとスープストック!ひばりくん」

「ンパッオパッパ、ンパッオパッパ」

「あーそうそう!なんかそこンパンパ言うよね」

「ンパンパ言う」

「あーあ、デートしたい」

「わかる、冬だから感極まってくるよね」

「わたしさ、言わなかったけど、わりとクッパとデートしたいんだよね」

「すごいわかる。わたしは最近マッチングアプリ始めたの」

「そうなの?この流れからいくと、もしや」

「そのもしやよ」

クッパみたいな男探すために?」

「そう。なかなかいないの」

「いないいないバウアー」

「めっちゃいるし笑」

「めっちゃいたね笑」

「過去形笑」